海水中で長期間安定に存在できる超小型脂質二分子膜カプセルの作製に成功!

海水中で長期間安定に存在できる超小型脂質二分子膜カプセルの作製に成功!

 国立大学法人bet36体育在线_bet36体育投注-官网网站@大学院工学府の和泉佳弥乃(FLOuRISH次世代研究者挑戦的研究プログラム生および卓越大学院生)、吉家爵(卓越大学院生)、東京海洋大学学術研究院海洋生物資源学部門の小祝敬一郎助教、bet36体育在线_bet36体育投注-官网网站@大学院工学研究院生命機能科学部門の川野竜司教授らのグループは、海水中で長期間安定な超小型脂質二分子膜カプセル(リポソーム)の作製に成功しました。本技術は今後、養殖場をはじめとする様々な自然環境分野へ利活用できる超小型バイオリアクタへの応用が期待されます。

本研究成果は、ACS Publicationsが発行するACS Omega(2月22日付)に掲載されました。
論文タイトル:Long-term Stable Liposome Modified by PEG-lipid in Natural Seawater
著者:Kayano Izumi, Jiajue Ji, Keiichiro Koiwai, and Ryuji Kawano
URL:http://doi.org/10.1021/acsomega.3c10346

現状
 ナノ~マイクロサイズの脂質二分子膜小胞であるリポソームは、その構造が生体膜に近いことから生体親和性が高く、有効成分を外部から保護して標的患部へ運搬するカプセルとして利用されています。こうした材料としてのリポソームの利用は主に医学研究で取り組まれてきましたが、医学に留まらない幅広い自然環境分野、例えば天然の海水中で微量成分を運搬するカプセルや、水質をモニタリングするバイオセンサなど、バイオリアクタ(生体分子を用いた化学反応を利用するシステム)のカプセルとしての応用が期待できます。こうした応用には長期的にカプセル構造を維持できる安定性が重要となりますが、海水中でのリポソームの安定性は十分に検討されてきませんでした。

研究体制
 本研究は、bet36体育在线_bet36体育投注-官网网站@大学院工学府の和泉佳弥乃(FLOuRISH次世代研究者挑戦的研究プログラム生および卓越大学院生)、吉家爵(卓越大学院生)、東京海洋大学学術研究院海洋生物資源学部門の小祝敬一郎助教、bet36体育在线_bet36体育投注-官网网站@大学院工学研究院生命機能科学部門の川野竜司教授らによって実施されました。本研究はJSPS科研費挑戦的研究(萌芽) 21K19786、学術変革領域研究(A)「超越分子システム」21H05229、JST-CREST JPMJCR21B2の助成を受けたものです。

研究成果
 本研究では、神奈川県三浦半島で採取した海水および、リポソームの安定性を向上させるためにリポソームの主成分であるリン脂質にポリエチレングリコール(PEG)を結合させたPEG化脂質を使用しました。海水はイオンをはじめとする多様な物質が含まれる電解質水溶液であり、特にプラス電荷のイオン(カチオン)は脂質二分子膜と相互作用し、これがリポソームの不安定化要因になる可能性が考えられます。これまでに、リポソーム内部に細胞骨格のようなネットワーク構造を形成して内部から膜を支えたり、膜に分子を組み込んで膜を硬くしたりといったように様々な安定化戦略が報告されています。その中でもPEG化脂質は、リポソームの膜表面を覆い、カチオンの膜への結合を抑制することが期待されました。実験では、最大14日間にわたる顕微鏡観察を行い、PEG化脂質を導入したリポソーム(PEGリポソーム)がリン脂質分子のみから構成されるリポソームと比較して、より長期間、海水中で安定に存在できることが確認されました。また安定性はPEG化脂質の含有率が増えるほど高くなりました。さらに、カチオンの膜への影響をより詳細に調査するために、海水中の主要なカチオンであるナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムを含む電解質溶液を使用し、各溶液中でのリポソームの安定性の違いを比較検討しました。その結果、イオンの価数や濃度によってリポソームの安定性が異なり、高濃度のカチオン溶液では脂質のみから構成されるリポソームの安定性が低下する一方で、PEGリポソームの安定性が高まることが示されました。これにより、PEG化脂質がカチオンに対して効果を発揮してリポソームの安定性を向上させ、PEGリポソームは、最大14日間にわたり海水中で存在できることが確認されました。
 
今後の展開
 本研究では、海水中で長期間にわたり安定に存在できるリポソームの作製に成功しました。bet36体育在线_bet36体育投注-官网网站@は海洋研究開発機構と包括協定を締結しており、今後は連携を深めながら、リポソームを大量に作製できるような方法の確立や、特定量の有効成分を封入するためのサイズ制御などを行い、資源の有効活用によって循環型?持続可能社会の創成に資する材料開発とその実応用への展開を目指しています。

図1:海水中のリポソームの安定性。PEGリポソームが脂質のみから構成されるリポソームと比較して、長期的に安定であることが示されました。この安定性向上は、PEGがリポソームの膜表面を覆い、海水中のカチオンとの相互作用を抑制する効果によるものと考えられます。

◆研究に関する問い合わせ◆
bet36体育在线_bet36体育投注-官网网站@大学院工学研究院
生命機能科学部門 教授
川野 竜司(かわの りゅうじ)
 TEL/FAX:042-388-7187
 E-mail:rjkawano(ここに@を入れてください)cc.jskrtf.com

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