研究室 (研究室配属から卒業論文、修士論文執筆まで)

農工大への入学を考えている高校生、1,2年生、卒業研究室を選んでいる3年生諸君、大学院から研究室に入学を希望する学生諸君へ

農工大の大学案内を作る作業に関わりました。インタビューを受けたことを基にメッセージを発したいと思います。

<質問>

● 先生ご自身の研究内容について教えていただけますでしょうか。また、今後先生の研究が目指すところについてもお聞かせください。

 人間は毎日、太陽光やLED照明の光を目にします。光は携帯電話の電波と同じ電磁波の一種です。光は携帯電話の電波よりも約20万倍大きな周波数をもつ電磁波で、赤外線、可視光、紫外光と様々な種類の光があります。光と物質は屈折や吸収、散乱の形で相互作用し、それを利用することでセンサを実現することができます。特に揮発性有機化合物の検出を種類を見分けながら高感度で検出することが強く求められています。清水大雅研究室では、半導体光導波路、表面プラズモン、磁気光学効果を研究し、高感度なガスセンサの実現を目指しています。  今後はこれまで着想してこなかった物理を見直し、気体分子の種類を識別する高感度なセンサを実現し、農業、医療、安全保障など多方面に応用することを目指しています。

● 東京農工大学の学びの特徴はどのようなところだとお考えですか。(ご自身の所属学科の特徴でも構いません。)

東京農工大学には農学部・工学部合わせて一学年約1000人、そのうち、工学部の学生が700人います。大学の規模として大きすぎず、行動力さえあれば、すべての学科に知り合いを作ることができ、幅広く勉強することができることが特徴です。化学物理工学科には毎年約80人の1年生が入学します。化学物理工学科では、エネルギー、環境といった研究から、電磁気学、量子力学、熱統計力学、光エレクトロニクス、電気電子材料工学、プログラミング、反応速度論まで幅広く、かつ深く勉強・研究することができます。勉強する分野は多岐にわたりますが、エネルギー、環境から新素材開発まで世の中の広いニーズに応えることができるのが化学物理工学科の特徴で、教員は世界の最先端で研究しています。最先端で研究する教員が講義も担当していて、教員と学生との距離が近く、熱心に教育していることが特徴です。多くの大学院生がティーチングアシスタントとして講義や実験を補助していて、学び合いの場を作っています。

● どのような学生に入学して欲しいとお考えでしょうか。

例えば、私の研究である光センサを実現するには、光導波路というデバイス(部品)の動作原理を理解するだけでなく、電磁気学、固体物理学や反応速度論を根本から理解し、適切に材料や構造を設計し、用途に応じて微細加工技術を習得・駆使して作製し、評価する必要があり、幅広い知識と行動力、粘り強い姿勢が必要です。他の学科教員の研究も同様です。勉強するには時間が必要で、ときには違った角度から物事を眺める必要があり、また実験、ディスカッションや学会発表を通じて自分の立ち位置を把握する必要があります。能力向上には時間がかかることをよく理解した上で、一歩一歩着実に歩むことができる学生に入学してほしいと考えています。

● 先生が学生に指導する際に心がけていることを教えていただけますでしょうか。

インターネットの発達によって検索機能が充実し、検索すれば何でもわかったような気持ちになりますが、それは錯覚です。講義では「教科書を読んで理解したつもり」=理解ではありません。必ず手を動かして問題を解くことが必要です。暗記も必要ですが、物事を根本から理解することが必要です。研究では講義や学生実験とは違って、それまで誰もやっていないことに取り組むのですから失敗の連続です。失敗の中から少しずつ研究とは何かを学んでもらうことを心がけています。

● 先生はどのような学生を育てていきたいと考えていますでしょうか。

 1つのことを究めながらも、他者を尊重でき、国内外を問わず活動できる学生を育てていきたいです。また、気が付きにくいことですが、研究には意外と体力が必要です。勉強や研究もこなしながら、体力をつけていってほしいと思います。

●この記事を読む受験生、高校生に向けて一言メッセージをお願いします。

 大学在学中に勉学、スポーツ、趣味、何でもよいので1つを究めてほしいですね。できれば勉強と研究を究めてくれることを期待しています。大学に行くことの1つの意義は大学の内外に一生つきあえる友人を作れることです。ぜひ一緒に農工大で勉強しましょう。

以下は研究室の生活を紹介します。

インターネット・通信分野・CD/DVDなどの光ディスク記録において広く社会に応用されている「光」、 大容量のハードディスクに代表される「磁気・磁石」、 それらを制御する「電気・半導体」、ときに量子力学などを駆使しなければならない。

これらの分野は「難しい」という印象を持たれることがあります。

しかしこれらは広く社会に応用され日々の生活に溶け込んでいるといっても過言ではありません。 そんな視点に立つと難解に見える分野も違って見えます。

清水研究室ではこれまで勉強してきた基礎科目と最先端の分野を橋渡ししつつ、研究に取り組んでもらう環境を目指しています。
関連する講義を挙げれば、電気磁気学、電子物性、などですが、時には解析のためにキーボードをたたいてプログラミングを行ったり、化学の知識が必要になったりもします。卒業研究ではこれらを駆使するわけです。基礎講義の内容に必要に応じて立ち返ります。

学内外との共同研究も行っており、さまざまな人・分野と触れ合ってもらえばと考えています。

光・電気・磁気・半導体光素子の設計・作製・評価、特に手を動かす実験やものづくりに興味がある人を歓迎します。

卒業研究生の一年間
3年次10月 研究室体験配属、教科書輪講(4,5月まで)
5月〜実験装置の使用方法、テーマ設定、研究室ゼミでの進捗発表(2か月に1回)
9月 秋の学会発表、 中間発表、発表練習指導
10月 研究室ゼミでの進捗発表(〜月1回)
12月 M1中間審査
1月 卒論執筆、提出、指導
2月 卒論発表会
3月 春の学会発表
その他、研究分野に関連した国際学会に投稿し、参加します。

週1回の研究室ミーティングで研究進捗報告、学会等の発表練習を行います。実験に関わる輪講を行ったり、研究グループを作りディスカッションや実験を指導することによって研究を進めます。

その他、新人歓迎会、忘年会、送別会など、学生が主体となって企画します。実りある研究室生活になります。

学生のうちに(就職する前に)自分を鍛え、何か一つ誰にも負けない自分の得意分野を持つことを心がけてください。

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