Research
研究内容
導電性高分子のエレクトロニクス
導電性高分子やその針状結晶である導電性高分子ナノファイバーはポストシリコンに位置付けられる柔らかい半導体です。導電性高分子を用いた柔らかい半導体素子や半導体デバイスの実現、将来の社会実装を目指して研究を進めています。特に、現在は汎用プラスチックやエラストマーに導電性高分子を混ぜ込んで(コンポジットして)、強度を向上した高分子半導体シートの開発に取り組んでいます。
導電性高分子の熱電変換
導電性高分子は半導体のため、ゼーベック効果と呼ばれる現象により、熱を電気に変換することができます。私たちの身の回りにある電化製品は、コンセントから得られる電力の約30パーセントを利用して動作し、残りの70パーセントは排熱として、外部に放出しています。熱電変換を用いれば、この排熱を再度電力に変換することができます。現在、導電性高分子を断熱性の高いエアロゲルなどの発泡構造にして、熱電変換機能をもった断熱材の開発を進めています。
熱伝導率測定法の開発
電気伝導率すなわち導電率の測定法は確立されており、簡便に測定することができます。しかし、同じ輸送特性にも関わらず、熱伝導率の測定は簡単ではありません。大きくて、熱伝導率の小さなものであれば、容易ですが、膜などの測定法はまだ、十分に確立されたものではありません。そこで、3ω法と呼ばれる熱伝導率を直接測定することができる方法(間接測定法が多く、直接測定法は意外と少ない)の開発を始めました。
イオンゼーベック効果による熱電材料の開発
導電性高分子の熱電変換の研究を進める過程で、導電性高分子をコンポジットして可塑化した高分子フィルムが大きなゼーベック効果を示すことを見出しました。さらに研究を進めたところ、これは電子ではなく、イオンが輸送されることで発現するゼーベック効果であることがほぼ、明らかとなりました。電子と異なり、イオン輸送は高分子マトリックスの構造により、様々な変調を加えることが可能で、より巨大なゼーベック効果を期待しています。
Liイオン電池のための高強度スライドリングゲル電解質の開発
スリップリンクモデルを具現化したゲルとして東大伊藤研(奥村氏)において開発されたスライドリングゲル!ベンチャー企業も生みだし,注目を集めています。架橋点が自由に動くために滑車の効果で材料本来の強度が得られる高強度ゲルです。このゲルをエレクトロニクスに応用せよとの伊藤先生の要請を受けて研究しています。スライドリングゲルをイオン液体で膨潤させたものは,とても高いイオン伝導度を示し、かつ強いゲルであることがわかりました。
現在、本研究は中断しています。