研究のターゲット
小さな多数の固体粒子が入った水溶液から水が蒸発すると固体粒子の膜が残ります。液中では互いに離れていた粒子同士が膜内では接触して充填されています。この粒子の充填はどのように起こるのか。この基礎研究を起点に、乾燥速度と粒子充填の速度の関係、濃縮が起こす自発的な循環流の発生、充填の可逆性、充填に加わる力の測定、大小粒子が混ざった場合の充填構造など溶媒の乾燥が引き起こす様々な現象を研究しています。
硬い固体粒子だけではなく柔らかく変形できる液滴の分散液(エマルション)や空気の粒(泡)を含んだ溶液にも対象を広げ、容易に変形する液滴や気泡の存在が乾燥速度や流動現象にどのような影響を与えるのか、も検討しています。
また、乾燥現象とは別に汎用的な基盤材料であるシリコンを気相反応で作る研究も進めています。対象とする反応場は、気相反応に加えて、自発滴に生成する金属融液(亜鉛の液滴)がシリコン結晶化の触媒として働く複雑な系です。気相流れや反応の温度が、シリコン固体のサイズや形状に与える影響を検討しています。
いずれも熱力学的な平衡からは大きく外れた場ですが、ものづくりに不可欠な「速度過程の理解」を軸とした研究を進めています。