細胞の観察には顕微鏡が一般的に使われますが、視野が非常に狭いため、広い範囲に拡がった細胞を一度に観察することはできません。そこで私たちはデジタルカメラやスマートフォンに搭載されているCMOSセンサーに着目し、細胞の観察に利用することを考えました。CMOSセンサーは微細な検出素子が数千万個アレイ化されたデバイスで、センサー上に映った像を瞬時に画像として記録することができます。私たちは数ミリ角のCMOSセンサー上に直接細胞を乗せ、画像を記録することで、広範囲に散らばった細胞を一括で検出する技術を開発しました。この技術は顕微鏡のような対物レンズなどを組み合わせた装置を必要としないため、細胞解析装置の安価?小型化が可能です。現在、医療機関や、発展途上国などのインフラが整わない環境での使用に向けて、本技術に基づいたHIV診断装置の開発を進めています。また、最近では本技術による微生物検査に向け、機械学習を用いた画像判定システムの開発に取り組んでいます。