◎ 農工大21世紀COEプログラム合同シンポジウム
                    「ナノ未来材料と生存科学」を開催

 東京農工大学は平成14年度に2件の21世紀COEプログラム、「ナノ未来材料」と「新エネルギー・物質代謝と『生存科学』の構築」が採択されましたが、今年はその最終年度にあたるため、2つのCOEプログラムの成果を確認し、今後の展望を探ることを目的に、学内の教職員・学生を主対象とした合同シンポジウムを12月22日(金)に農学部講堂において開催しました。
 笹尾彰学術・研究担当副学長による開会の挨拶の後、まず「新エネルギー・物質代謝と『生存科学』の構築」の成果報告が行われました。脱温暖化・持続型社会の構築という21世紀の主要課題について、「生存なくして持続なし」というユニークな立場から、「生存科学」を合言葉に農学系と工学系の共同研究を強力に行い、バイオマス利用からマイクロ水力までを含む新エネルギー技術や、地域主体の形成を助ける地域の環境・エネルギーシステム設計のためのウェブベースツール「PEGASUS」(http://www.pegasus-web.org)の一般公開や、新たな公共事業政策の提案などについて横断的な学風を展開してきました。このような分野横断的な展開は、これまでの大学人がもっとも苦手とするところであり、東京農工大学の実績は全国の21世紀COEの中でもユニークだといえます。
 続いて2号館1階ホールにて行われたポスターセッションでは、両COEから若手を中心としたポスター34件が発表されました。様々な分野の最先端の研究が凝縮しており、特に博士課程学生を中心とした分野を超えた活発な討論が行われました。
 「ナノ未来材料」の成果報告では、纐纈プログラムリーダーによる目的と成果のまとめの後、「ナノ未来材料」を形成する3つの戦略的中核ナノテクノロジーである「ナノリアクター」、「ナノエネルギー」、「ナノハイパーエレクトロニクス」から、1件ずつ講演が行われました。基礎研究から活発な企業との共同研究や実用化、大学発ベンチャーなどで多くの成果があることが紹介されました。さらに、材料科学分野で、化学分野はもとより、電子工学から生命工学にわたる学内の広い連携を実現し、ナノ・材料分野の若手研究者の育成で成果を挙げていることから、これからの飛躍の条件を構築していることも紹介されました。
 いずれのCOEの成果報告も、専門家以外の学生や一般人にも理解できるようなわかりやすい講演となりました。
 最後に、小畑秀文学長を交えたパネルディスカッション「COEプログラムで得られたもの・将来の展望」が行われました。本学は技術系の農工二学部からなるいわば技術系の大学であるが、両COEでは様々な分野が融合して研究が行われていることから、異分野融合を進めるための施策などについて議論されました。
 文部科学省では、21世紀COEのあとに、グローバルCOEといったプロジェクトを用意していますが、倍率は高く、それに参画するために各大学の競争は厳しいものとなっています。その中で、東京農工大学のようなユニークな取り組みにも更なる発展のチャンスを期待したいものです。
 
 
    
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