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研究TOPICS

「組織工学」という研究領域でシルク由来の再生医療材料を開発する 工学部 生命工学科 中澤研究室 工学部の中ではかなり女子学生の比率が高い研究室だ。

人工血管などに用いる再生医療の材料開発を行っています。現在、現行の人工血管の材料には、石灰化、血栓形成などの課題があります。この状況を克服するため、私たちの研究室で開発しているのが、シルクフィブロインを用いた再生医療材料です。その名の通り、シルクを原料とするもので、生体にやさしく、適度な強度があり、分解性を有するという特徴があります。シルクはもともと蚕という虫由来の蛋白質ですが、生体との相性がよく、低炎症性や石灰化抑制効果も期待できます。私が特に注目するのは、体内で分解される点であり、シルクフィブロインの人工血管で、患部を修復した後、元の血管の自己組成化が実現できれば画期的な生体材料になるでしょう。

この研究の独自性は、シルクの構造を一度壊して、さまざまな形に再構築して、新たな機能を持たせるところにあります。開発した材料は、特別な装置を使って構造や物性、機能性を解析し、再生医療材料へと応用します。材料工学の手法を取り入れて組織や臓器の再生にアプローチするこの学問は「組織工学」と呼ばれています。組織工学は、複数の専門分野を必要とする学際的な学問であり、この研究室で学んだ学生は、このスキルが将来大きな強みになるでしょう。

現在はシルクフィブロインをベースに、ウレタンや他のタンパク質を混ぜた新材料の構造解析にも取り組んでいます。人工血管用のチューブ状の材料だけでなく、心臓の修復などに用いるフィルム状の材料なども開発中です。

目標はもちろんシルクフィブロインを用いた新材料の実用化です。医療機関との連携にも積極的に取り組んでいます。bet36体育在线_bet36体育投注-官网网站@のルーツであるシルクという材料の未来の可能性を広げることは、この大学での使命だと考えています。

生糸および様々な形態に加工したシルクフィブロイン
中澤靖元 教授

工学部
生命工学科
中澤 靖元 教授

bet36体育在线_bet36体育投注-官网网站@工学研究科生命工学専攻博士後期課程修了。博士(工学)。日本学術振興会特別研究員、bet36体育在线_bet36体育投注-官网网站@産学官連携研究員などを経て現職。

Student's Voice

本多惟克さん

大学院工学府
生命工学専攻 修士課程2年
本多 惟克さん

千葉県立幕張総合高等学校出身
シルクフィブロインとポリウレタンを混ぜた新材料を開発中です。シルクと人の血管の物性の違いを細かく構造解析し、新材料に反映しました。化学メーカーとの共同研究にも挑戦しました。

小柳 英里さん

大学院工学府
生命工学専攻 修士課程1年
小柳 英里さん

私立東京女学館高等学校出身
再生医療に工学面からアプローチしたいと考え、研究室に所属しました。現在はシルクフィブロインと天然のコラーゲンを混ぜた新材料を用いて、血管の再生を目的とした血管修復シートを開発中です。

山本 遥香さん

工学部
生命工学科4年
山本 遥香さん

青森県立八戸北高等学校出身
シルクフィブロインを用いた癒着防止の新材料を研究中です。心臓の手術など想定する応用先は多様で、興味のあった医療と化学が融合する理想の研究を見つけました!

※掲載内容は、2020年11月取材時のものです。