研究TOPICS

例えば、「BSE(牛海綿状脳症)」の原因は、もともと動物の体の中にあるタンパク質が変異した「アミロイド」という物質だと言われています。アミロイドとは、本来の構造を失い、水に溶けなくなった病原性のタンパク質のこと。これが動物の体に溜まると、BSEなどの「アミロイドーシス」と呼ばれる病気を引き起こすのです。
アミロイドーシスは、人間の身体でも発症する、致死性の高い病気です。アルツハイマー病やパーキンソン病なども、アミロイドーシスの一種。私たちの研究室では、身体の中にあるタンパク質がアミロイドーシスを引き起こすメカニズムや、アミロイドがどのように吸収され、伝達していくのかを、主にマウスやウズラなどの動物を用いて分析しています動物をモデルに病理を解明することで、人間における難病のメカニズムの解明にも役立てていく。これが、私たちが取り組んでいる「比較病理学」という学問なのです。
研究室では、マウスやウズラのほかにも、フラミンゴや犬、猫の検体などさまざまな動物を扱います。「アミロイドーシス」を引き起こす病原性のタンパク質を解析するためには、試験管内での解析だけでは不十分です。動物の検体を解剖し肉眼で観察して、組織標本にして観察して、さらには電子顕微鏡を用いてナノ構造を分析して……と、マクロからミクロまでさまざまな手法を使って、病原性のタンパク質を徹底的に解析します。こうしたさまざまな手法を用いた解析技術も、私たちの研究室の特長です。
獣医毒性学は、「人はなぜ病気になるのか?」というメカニズムを研究したい人にはぴったりの学問。獣医毒性学の先端的な研究を通じて、一緒にその謎を解明してみませんか
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
農学部
共同獣医学科
村上智亮 准教授
岐阜大学大学院連合獣医学研究科獣医学専攻博士課程修了。
獣医師、博士(獣医学)。専門は獣医学、実験病理学。
2013年より、bet36体育在线_bet36体育投注-官网网站@農学部共同獣医学科で指導にあたる。
Student's Voice
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農学部 共同獣医学科 6年
小野 歩さん
茨城県立竹園高校出身
フラミンゴのアミロイドーシスを研究しています。フラミンゴはアミロイドーシスを集団発症しやすく、脳にアミロイドが沈着するケースも。鳥類ではそうした発症例が少ないので、原因を解明しています。
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農学部 共同獣医学科 5年
門田 亜弓さん
私立神奈川大学附属高校出身
AL アミロイドーシス(全身性アミロイドーシス)の原因となるタンパク質の質量分析を行っています。動物病院で実際に行われているような臨床に近い研究領域なので、やりがいを感じます。
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農学部 共同獣医学科 6年
三好 知行さん
神奈川県立柏陽高校出身
マウスとウズラを用いて、経口投与と静脈投与でアミロイドの伝播性を比較しています。哺乳類と鳥類を比較した研究は例が少ないのですが、未知の領域を実験によって実証していく楽しさがあります。
※掲載内容は、2018年11月取材時のものです。